第2話:「疑念と協力」
アレックスは、ログアウトできないという異常事態に直面しながらも、この世界での生活を続けていた。日々のクエストや冒険は充実感を与えてくれるものの、心の中では次第に大きな不安が膨らんでいく。何度も試みたログアウトができず、現実世界に戻る手段を見つけられないまま、このままゲーム内に閉じ込められてしまうのではないかという恐怖が少しずつ彼の意識に広がっていた。
「一体、どうなっているんだ…」
ある日、アレックスは新しいクエストを終えた後、酒場で情報収集を行っていた。他のプレイヤーたちがどのような状況にあるのかを知るためだ。酒場には多くのプレイヤーが集まっており、彼らは日々の冒険や戦利品について楽しげに話している。しかし、その中に、一部のプレイヤーは彼と同じようにログアウトできない異常を感じている者がいるという噂を耳にした。
「ログアウトできないって話、聞いたか?」隣のテーブルで話している二人のプレイヤーの会話が耳に入った。
「聞いたことある。俺も一度、ログアウトできなかったことがあった。でもすぐに戻れたから、ただのバグだと思ったけどな。」
「でも、他にも同じようなことが起きてるっていうし、何かおかしいよな。」