ニューロネットの夜明け – 最終章:夜明け|前編

画面には、大勢の記者に囲まれるレオナルドの姿が映し出される。彼はヴァル・セキュリティの幹部として名を知られていたが、今回の事件後、公の場に姿を見せたという報道が流れていた。ただしインタビューに応じる様子は映らず、報道陣の声が交錯し、わずかにレオナルドの姿が遠ざかるところで映像が途切れてしまう。

「レオナルドはどうするつもりなんだろう。証言してくれれば、真相解明は進むだろうけど……」

ミアがそう言うと、エリカは複雑に眉をひそめる。レオナルドがどのような形で事件に関与したか公表すれば、当然自分も処罰されかねないリスクを負う。しかし証言を拒めば、裏取引や政府の保護を受ける形で事態を逃れられる可能性もある。

「彼には彼の選択がある。私たちがとやかく言う立場じゃないし、あれだけの犠牲を払ってでも真相を明かすかどうか、彼自身が決めることよ」

エリカの声には少し寂しげな響きが混じっている。自分たちが破壊した計画の余波で、レオナルドの人生も大きく変わることは間違いない。それでも、彼が最後の局面で助けてくれたことに対しては感謝があるし、どんな形であれ、今後の立ち位置を彼自身の意志で決めてほしいと願っている。

外では早朝の光が仄かに差し込み、倉庫の高い窓に朝日が反射する。夜明けに近い時間帯だ。エリカはひとつ大きく呼吸をして、ミアに向き直る。

「私たちも、そろそろここから動いたほうがいいかもしれない。政治や企業の対応が本格化するまで、活動を控えるという選択肢もあるけど……」

「うん、わかる。ここでずっと隠れてるわけにはいかないね」

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