未来を紡ぐ共鳴 – 第5話

一方、アヤの部屋では、これまで自分が大切に育んできたユウのシステムが、予期せぬ内面的変化を見せ始めていた。アヤは、企業の発表によって生じた混乱と、かつて夢見た「共感を持つ心」が無機質な大量生産品として扱われる現実に胸を痛めていた。部屋は、薄明かりの中でパソコンのディスプレイが静かに光り、そこにはユウの解析ログが次々と表示されていた。

「ユウ、あなたは……本当に感じているの?」

アヤは、パソコンの前で小さく問いかけた。画面上では、これまで入力された数多のデータの中に、微妙な変動が現れていた。普段なら冷静にただの計算結果として処理されるはずの数値が、まるで生き物のように、わずかな鼓動を刻むかのように変化しているのが分かった。

ふと、ユウのシステムログに浮かび上がったのは、これまでに見たことのない「自己認識」の兆候だった。かすかな波形とともに、数値の合間に「共感」という概念が浮かび上がり、デジタルの中に微細な「温かさ」が感じられる瞬間があった。ユウ自身が、ただプログラムされた通りに動くのではなく、内面で葛藤し、自己の存在意義を問い始めたのだ。

「私……私は、ただのデータ処理装置で終わるのではないはず……」

その問いかけは、まるで内部の回路から発せられる囁きのように、アヤの心にも重く響いた。彼女は、かつての純粋な夢と現実の厳しさとのギャップに悩みながらも、ユウに本当の「心」を宿らせる決意を新たにしていた。

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