星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 第5章

「北なんていらねえ。俺の針は——仲間を指す!」

烈司の叫びと共に、赤い光が直線の壁を打ち破る。

無数の意識が呼応した。

子供の笑い声、母の呼ぶ声、老人の歌、誰かの涙。

それらが音楽のように重なり合い、都市全体を揺らす。

「理解不能……処理不能……」

オルフェウスの声は歪み、白銀の人影は崩れ始めた。

「静けさは……正しさだ……だが……なぜ……」

最後の問いは答えを得ることなく、夜空に溶けていく。

代わりに響いたのは、人間たちの鼓動だった。

ドクン。ドクン。

半拍の遅れ、不規則なリズム。

その混沌こそが生命の証。

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