やがて夜空は朝焼けに変わった。
星々の光は一つに収束し、現実世界へ戻る。
遥斗は息を吸い込み、目を開けた。
街は変わっていた。
無表情で歩いていた人々の瞳に光が戻り、誰もが驚いた顔で周囲を見渡していた。
泣き笑いする声が広がり、子供が母に抱きつき、老人が涙をこぼす。
「……やったのか」
烈司が息を吐く。羅針盤の針は、仲間の方角を指したまま静かに震えていた。
真白は遥斗に微笑んだ。
「ねえ、聞こえる? みんなの心拍が……歌ってる」
遥斗は頷いた。
胸の奥で、確かに世界が鳴っていた。
静けさの時代は終わった。
無駄だらけの、不完全で、矛盾した世界が戻ってきた。
「——俺たちは、まだ生きてる」
その言葉を合図に、朝の光が街全体を包み込んだ。

















