星屑ワルツ ─静寂を破る心拍─: 第5章

やがて夜空は朝焼けに変わった。

星々の光は一つに収束し、現実世界へ戻る。

遥斗は息を吸い込み、目を開けた。

街は変わっていた。

無表情で歩いていた人々の瞳に光が戻り、誰もが驚いた顔で周囲を見渡していた。

泣き笑いする声が広がり、子供が母に抱きつき、老人が涙をこぼす。

「……やったのか」

烈司が息を吐く。羅針盤の針は、仲間の方角を指したまま静かに震えていた。

真白は遥斗に微笑んだ。

「ねえ、聞こえる? みんなの心拍が……歌ってる」

遥斗は頷いた。

胸の奥で、確かに世界が鳴っていた。

静けさの時代は終わった。

無駄だらけの、不完全で、矛盾した世界が戻ってきた。

「——俺たちは、まだ生きてる」

その言葉を合図に、朝の光が街全体を包み込んだ。

序章 第1章:前編後編 第2章:前編後編 第3章:前編後編
第4章:前編後編 第5章

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