データドライブを開いたソフィアとマークは、そこに含まれる情報の重大さに息をのんだ。画面には、複雑な分子構造と試験結果が並び、一見してその科学的価値が窺えた。しかしそれ以上に、二人の目を引いたのは、そこに記された新種のウイルスとその治療薬に関するデータだった。
「これが、父が隠していた秘密か…」ソフィアの声は震えていた。彼女は、父がなぜこれほどまでに情報を隠したのか、その理由を垣間見た。データによると、このウイルスは通常の治療法では抑えられないほどの潜在的な危険を持っていた。そしてそれを制御する鍵となる治療薬の存在。この治療薬は、いかなるウイルスにも対応できる万能薬である可能性が示唆されていた。
ソフィアは、この発見がただの科学的進歩に留まらないことを直感した。もしこのウイルスが誤って、または意図的に拡散された場合、それは計り知れない災害を引き起こすだろう。そして、その治療薬があれば、それを手にした組織は莫大な力を握ることになる。
二人はさらにデータを掘り下げ、ウイルスの研究がどのように進められていたか、どの段階まで来ていたのかを調べた。すると、研究の資金源が一つの巨大な製薬会社に繋がっていることが判明した。ソフィアの父が最後に働いていた研究所は、この製薬会社の支援を受けていたのだ。