夜の記憶 – 第3章

「こんにちは。エリカと申します。突然のご連絡で驚かせてしまってすみません。」

「いえ、大丈夫です。あの事件について誰かが興味を持ってくれるのは珍しいですから……それに、私も亜沙子のことを忘れたわけじゃないんです。」

エリカは感謝を述べた後、ペンダントを取り出した。「実は、これを森で見つけたんです。これ、亜沙子さんのものですよね?」

由美の目が見開かれ、言葉を失ったようにペンダントを見つめた。やがて震える声で答えた。「……間違いないと思います。これ、亜沙子が大事にしていたものです。失踪する直前にもつけていたのを覚えています。」

エリカはさらに質問を続けた。「失踪する前、亜沙子さんは何か悩んでいたり、不安そうな様子はありませんでしたか?」

由美は少し考え込むようにしてから口を開いた。「実は、亜沙子は失踪する前から何かに怯えていたんです。『誰かに見られている気がする』とか、『あの祠には近づかない方がいい』とか、そんなことを言っていました。でも、私には何のことかわからなくて……」

「祠……ですか。」エリカはそれを聞いてさらに興味を抱いた。「亜沙子さんは祠に近づいたことがあったんでしょうか?」

「それは分かりません。ただ、亜沙子が図書館で何かを調べていたのは知っています。祠に関する本だったのかもしれません。もしかしたら、そのせいで……」

由美は言葉を濁したが、エリカにはそれ以上問い詰めることができなかった。彼女の話を聞いて、エリカは次の手がかりを図書館で探すべきだと確信した。

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