夜の記憶 – 第3章

図書館に戻ったエリカは、再び祠や月影の森に関する資料を探し始めた。何時間も本をめくる中で、ようやく1冊の古い記録にたどり着いた。それは「月影の森の歴史と伝承」と題された書物だった。

「祠は、月影の森の奥深くに位置し、地元住民から『願いを叶える場所』として崇められていた。しかし、祠を訪れた者の多くは帰らぬ人となったという……」

エリカはページをめくりながら、さらに興味深い記述を見つけた。「祠の近くには石碑があり、その石碑には不思議な文字が刻まれている。この文字は古代の呪術に関係しているとされ、祠を守る結界の役割を果たしている可能性がある。」

「呪術……?」

エリカはその言葉に引っかかりを覚えた。祠が単なる伝承ではなく、もっと現実的な事件に関わっているのではないかという考えが頭をよぎった。さらに調べるうちに、祠が真壁圭介という地元の実業家が推進していた土地開発計画に含まれていたという記述が出てきた。しかし、開発計画は何らかの理由で途中で頓挫している。

「真壁圭介……」

エリカはその名前をメモに書き留めた。彼が何かを知っている可能性が高い。これ以上調べるには、彼に直接話を聞くしかないだろう。

図書館を出たエリカは、再びペンダントを手に取りながら、次の行動を考えていた。祠、伝承、失踪事件、そして真壁圭介。これらがどう繋がるのかを知るために、彼女はさらなる調査を続ける覚悟を決めた。

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