夜の記憶 – 最終章

翌朝、二人は警察署に戻り、洞窟での出来事を報告した。真壁の失踪は町中で話題となり、警察も捜索を開始したが、彼の行方は掴めなかった。一方で、洞窟から持ち出した証拠――ナイフや洞窟内の模様の写真――は、事件の新たな手がかりとなり得るものだった。

警察署でエリカと田代を迎えたのは、田代の上司である署長だった。彼は深刻な表情で二人の話を聞いていた。

「洞窟内での証拠と、真壁の関与がこれで確定的になった。だが、まだ全貌が明らかになっていない以上、慎重に動かなければならない。」署長はそう言うと、部下に証拠の分析を指示した。

「でも、私たちはここまで来たんです。もう真相を明らかにしなければ……」エリカの声には強い決意が込められていた。

数日後、警察の捜査が進む中、エリカは再び月影の森を訪れた。祠の前に立つと、夢で何度も見た光景が現実となって目の前に広がっていることを実感した。

「亜沙子さん……私は真実を見つけたい。あなたが何を守ろうとしていたのかを……」エリカはペンダントを祠の中にそっと置いた。

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