夜の記憶 – 第4章

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エリカは真壁圭介に会うため、町の中心にある地域振興イベントの会場に向かっていた。図書館で得た情報と、亜沙子の友人・由美から聞いた話が頭の中で渦巻いている。祠、呪術、開発計画――これらすべてが彼に繋がっているとしたら、事件の核心に迫るためには彼と直接話をする必要があった。

イベント会場は、多くの人々で賑わっていた。屋台が並び、子どもたちの笑い声が響いている。エリカは群衆の中から真壁を探した。しばらくして、彼がステージ上で挨拶をしている姿を見つける。真壁は地元の名士らしい落ち着きと威厳を漂わせ、聴衆の注目を集めていた。

「次のスピーチが終わったら声をかけよう……」エリカはそう決め、しばらく真壁の様子を観察した。

スピーチが終わると、真壁はステージを降り、会場の片隅で数人の関係者と談笑を始めた。その隙を狙い、エリカは彼に近づいた。

「真壁さん、少しお話を伺いたいのですが。」

真壁は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに穏やかな笑顔に戻った。「はい、どちら様ですか?」

「私はフリーライターをしている三条エリカと申します。月影の森や祠について調べていまして、その関連でお話を伺いたいんです。」

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