夜の記憶 – 最終章

その時、風が吹き抜け、森全体がざわめくような音を立てた。不思議と恐怖心は感じず、代わりにどこか安堵するような感覚が広がった。

最終的に、警察の捜査によって真壁圭介が祠の近くで違法な廃棄物処理を行っていたことが判明した。彼はその事実を隠すため、祠や洞窟を封じようとしていたが、その過程で亜沙子が真相を掴み、口封じのために命を奪われた可能性が高いとされた。真壁は洞窟崩落後も発見されず、行方不明のままとなった。

事件が解決した後、エリカは記事としてこれまでの出来事をまとめた。地元の伝承と祠、真壁圭介の犯罪、そして失踪事件の全貌。彼女の書いた記事は大きな反響を呼び、月影町の闇を公にするきっかけとなった。

数週間後、エリカは再び月影の森を訪れた。祠の前に立つと、亜沙子の微笑む顔が頭の中に浮かんだ。

「あなたのおかげで、真実にたどり着けたわ。ありがとう……」エリカは祠に向かって静かに呟いた。

森の木々が風に揺れ、どこか穏やかな空気が漂っていた。エリカは深く息を吸い込み、静かにその場を後にした。

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