灯台の日記 – 前編

ジュンはひどい口論の後、自分の心を落ち着かせるために海辺を選んだ。彼の親友との間には、これまでこんな大きな不和はなかった。その口論の内容は、ジュンの恋愛観に関するものだった。親友はジュンの恋人との関係を心配していたが、ジュンはその心配を余計なおせっかいと感じてしまったのだ。

彼の足元には白く泡立った波が打ち寄せていた。夕日が海面を金色に染め上げており、その美しい光景の中で、彼の心は重たく沈んでいた。彼は自分の感情や考え、そして親友との関係について深く考え込んでいた。

しばらく歩いていると、彼の目の前に古びた灯台が現れた。その灯台は、以前からこの海岸にあったことを彼は知っていたが、実際に中に入ったことはなかった。灯台の壁には剥げたペンキやさびた鉄が見えており、時の流れを感じさせる。しかし、それが彼の好奇心をくすぐった。ジュンは少し躊躇しながらも、灯台のドアを開けた。

中は予想よりも狭く、古い木の階段が螺旋状に上に続いていた。彼は手すりを掴みながら、ゆっくりと階段を上がっていった。途中、窓から差し込む夕日の光が彼の影を壁に映し出し、その静寂さに彼は少し安堵した。

しかし、彼が最上階に到達する前に、何かが足元に引っかかった。彼が下を見ると、古びた革製の表紙の日記が階段の一角に落ちていた。ジュンはその日記を拾い上げ、興味津々でページをめくった。初めのページには、古い筆跡で「この日記を見つけた者へ。私の物語を読んでください」という言葉が記されていた。

ジュンはその場に腰を下ろし、日記を開き始めた。日記の中には、50年前の灯台守の日常や、彼の恋愛に関するエピソードが綴られていた。ジュンは自分の悩みを忘れ、その物語に深く引き込まれていった。