影の季節 – 最終話

第1話 第2話 最終話

真実の露呈

樹は古びた書物を手に、村の中心にある集会所へと足を運んだ。ここは村の長老たちが集まり、村の方針や重要な決定を下す場所だった。夜の集会所は、炎の揺らめきと、老いた者たちの深い呼吸で満たされていた。

樹は扉を開けると、真ん中に大きな円卓があり、その周りに長老たちが座っていた。彼らは驚く顔をし、樹をじっと見つめた。樹は書物を高く掲げ、「これは何ですか?!」と怒りに震える声で尋ねた。

長老たちの中の一人、灰色の髪をした古参の者が、ゆっくりと立ち上がった。「それは、我々の先祖から伝わる秘密の書だ。なぜお前が持っている!」彼は樹に向かって怒りを込めて叫んだ。

樹は冷静に答えた。「雪乃を探して、洞窟の奥で見つけたのです。あの女性たちは、あなたたちの儀式の犠牲になったのですね?」

会場は静寂に包まれ、数人の長老がうつむき、顔を隠した。しかし、灰色の髪の長老は、目を逸らさずに樹を見つめ続けた。「我々は村の安泰のため、長い歴史を持つ儀式を守り続けてきた。それは、先祖伝来のものであり、私たちには避けられない運命だ。」



「でも、無実の女性たちを犠牲にするのは間違っている!」樹は声を張り上げた。

その時、別の長老が立ち上がった。彼は年若く、柔らかい瞳をしていた。「私も樹さんの言うことに賛成です。長く伝わる伝統であるとはいえ、それが人々の命を奪うものであれば、見直すべきだ。」

灰色の髪の長老は激怒した。「お前も裏切るのか!」

若い長老は悲しげに首を傾げた。「裏切るのではない。正しいことを選ぶのだ。」

樹は前進し、円卓に手を置いた。「私は雪乃を救う。そして、これ以上犠牲者を出さないよう、この恐ろしい伝統を終わらせる。」

長老たちは、真実を受け入れるかのように、それぞれ頷いた。この村の未来は、新しい道を歩むことになるのだった。

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