マスター・フェリックスとの出会い
町を抜け、小道を進むと、古木の間にひっそりと佇む小さな工房が現れる。その扉には「フェリックスの鍵工房」と刻まれている。リディアは期待に胸を膨らませながら、扉を叩く。
扉が開くと、中から白髪の老職人が現れた。「あら、お客様。何かお探しですか？」リディアは深く頭を下げると、手に持っていた錆びた鍵を差し出す。「これを修復していただけますか？」
フェリックスは驚きの表情を浮かべながら鍵を受け取る。「これは…伝説の鍵…？」彼はしばらく鍵を手に取り、詳しく調べる。その間、リディアは彼の手元を見つめていた。
「どこでこの鍵を見つけたのか？」フェリックスの声が部屋に響く。リディアは、アルトゥーロの消失と、謎の楽譜のことを彼に話す。フェリックスは深くうなずきながら聞いていた。
「この鍵は、アルトゥーロの家族が代々受け継いできたものだ。彼の家族は、この鍵の秘密を知る数少ない家系の一つだった。」フェリックスは部屋の奥から、古い写真や手紙を取り出す。「この鍵は、時を超える力を持っていると言われている。そして、それを操るための楽譜が必要だ。」
リディアは興奮を隠せなかった。「その楽譜は、アルトゥーロが持っていたものと同じですか？」フェリックスはうなずき、「彼が最後に演奏しようとした楽譜…それが、この鍵の力を引き出すためのものだったのだろう。」
リディアは、フェリックスに鍵の修復を依頼する。「この鍵の秘密を解き明かすためには、まずは鍵を元の状態に戻す必要がある。」フェリックスは同意し、鍵の修復に取り掛かる。
その間、彼はアルトゥーロの家族の歴史や、鍵の伝説について語り始める。「この鍵は、遠い昔、時の神が人間に与えたものだと言われている。そして、それを守るために選ばれた家族が、代々この鍵を受け継いできた。アルトゥーロの家族も、その選ばれた家族の一つだった。」
リディアは、フェリックスの話に耳を傾けながら、アルトゥーロの消失の真相に一歩近づいていることを感じていた。
