最後のメッセージ – 第一幕: 不穏な手紙 前編

第1話: 謎の手紙

カズキは都内の一角で、フリーランスのデザイナーとしての平穏ながらも何か物足りなさを感じる生活を送っていた。彼の日々はクライアントからの要望に応えることと、たまの友人との飲み会でのんびりと過ごすことがほとんどで、大学卒業以来のルーティンに少しの刺激もなかった。アユミとは大学時代の親友であり、彼女とはよくデザインや芸術について熱く語り合ったものだが、卒業後はほとんど連絡を取ることもなく、お互いの存在は遠い記憶の中に薄れていた。

ある晴れた昼下がり、カズキのアパートの郵便受けに一通の手紙が届いていた。差出人は「アユミ」とだけあり、見覚えのある筆跡が懐かしさを誘った。彼は手紙を開くと、中には衝撃的な内容が綴られていた。「助けてくれ。私は−−−に囚われている」と。その言葉以外、何の説明もなく、どこで何が起こっているのかさっぱり分からなかった。

「何だこれは…冗談か?」カズキは一瞬そう思ったが、アユミが危険にさらされている可能性を考えると冗談にしては重すぎた。彼はすぐに携帯電話を手に取り、アユミの番号を呼び出そうとしたが、通話はすぐに「この番号は現在使われておりません」という自動音声に切り替わった。さらにメールも送ってみたが、送信エラーで戻ってくるばかりだった。

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