前編 後編
その家は、一見すると平凡で古びた木造の日本家屋でした。街の一角にぽつんと佇むこの家は、古い街並みに見事に溶け込んでおり、見知らぬ者が通りかかれば、ただの古い家としか思わないでしょう。しかし、地元の人々にはこの家が秘める暗い歴史がよく知られていました。ここは一族全員が突然失踪した、あの家なのです。
新しい所有者、小林昭二は、この家を低価格で手に入れたことを誇りに思っていました。都会の喧騒から逃れ、静かな田舎生活を始めるという彼の夢は、この古びた家で実現することになりました。家の中を見回すと、彼は古い家具や飾り物に視線をくぎ付けにされました。一部屋一部屋を丹念に探索し、家の全体像を把握しようとした昭二は、家の歴史に深い興味を持つようになりました。
昭二が町の図書館で調べると、かつてここに住んでいた一族が突然全員失踪した事実を見つけました。しかし、それは彼が知ることになる恐ろしい事実のほんの一部でしかありませんでした。新聞記事や地元の歴史書によると、一族はかつて地元で恐れられていた人々で、その存在は地元の人々から恐怖と敬遠の対象でした。
これらの情報に触発され、昭二は家の歴史をさらに深く掘り下げることを決意しました。そして、家の中にはまだ見つけ出せていない何かがあることに気づきました。地下室、その存在を知らぬ昭二は、家の構造図を手に入れることで、そこへの道を見つけ出します。
地下室に踏み入れると、彼は長い回廊を目の当たりにしました。その回廊の端には、何かが収納されているかのような重々しい木製の扉がありました。回廊を進みながら、昭二は壁に掛けられた古い絵や家族の写真を見つけました。それらを見ながら、彼は家族の生活が頭に浮かび上がり、その一方で彼らが何をしたのか、どうして全員が突然消えたのかという疑問が強まりました。
そしてついに扉を開けると、その中には奇妙な祭壇のようなものが見えました。昭二はそれを見て、怖気づいてしまいます。なぜなら、その祭壇は人間の骨で作られていたからです。それらの骨は恐らく何十年も前からここにあったのでしょう、昭二はその恐怖から逃れることができませんでした。
この瞬間、昭二が感じた恐怖は、まさに怨念の回廊に足を踏み入れたことを象徴していました。彼はこの家の秘密を暴くたびに、何か超自然的な現象が起こるような気配を感じていました。そして、それはこれから始まる彼の探求の始まりに過ぎませんでした。
