大空の船 – 第1章 後編

その言葉を聞いた途端、老人の眉がピクリと動く。静かな怒気というか、心の内を見透かすような眼差しがアレンに注がれた。しばし無言のまま、二人の間に張り詰めた空気が流れる。アレンは喉が乾き、手のひらが汗ばんでくるのを感じながらも、必死に視線を外さずに立っていた。

「空を飛ぶ船、ねえ。お前みたいなガキが言うのか。それで、具体的に何か知識や技術はあるのか?」

老人は嘲笑するように口元を歪める。アレンはぐっと唇を噛み、「いえ、まだ何もありません。でも、ずっと考えているんです。ちょっとしたグライダーも作りました。紙飛行機なら何度も……」と言いかけるが、老人はあからさまに面倒くさそうな表情を浮かべ、アレンの言葉を遮るかのように扉を少し閉めかける。

「ああ、そうかい。まあ、子どもの遊びだろう。悪いが、ここはその辺の修理屋でも趣味の集会所でもない。帰りな」

一歩踏み出したはずの勇気が空回りするような突き放し方に、アレンは悔しさでいっぱいになった。大人たちは皆、空を飛ぶなんて現実離れしていると言う。けれど、自分にとっては誰が何と言おうと大事な夢だ。諦めきれない気持ちが胸を熱くし、思わず声が大きくなる。

「諦めません! 僕はいつか、本当に空を飛べる船を作る。昔からずっと、そればかり考えてきたんです。あなたが……あなたがどうやって発明をしているのか、教えてください!」

強引な頼みだとわかっている。それでも、この機会を逃せば二度とチャンスは巡ってこないような気がした。老人は一瞬表情を曇らせたが、しばらくして「ほう……」と息をつく。どこか遠い昔を思い出しているような色が、その眼差しに浮かんだ。

「こっちに来な。まあ、見せてやるものはあまりないが」

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