大空の船 – 第1章 後編

強引な頼みとは自覚しているが、アレンにはそれしか言いようがなかった。ゴードンはしばし黙り込み、アレンをまっすぐに見据える。その視線には試すような鋭さがある。長い沈黙の後、ゴードンは少し背を向けるようにして作業机の脇へ歩み寄り、棚の上から古い金属部品を取り出した。

「ここにあるコアパーツは、かつて俺が作ろうとした小型飛行機の心臓部だ。中途半端なまま放置してたが……お前、それでも構わないなら持っていけ」

手渡されたのは、表面が錆びつき、ところどころに焦げ跡のある部品。正直言って、今のアレンにはまるで何の部品なのかもわからない。それでも、ゴードンから手渡されたというだけで、胸の奥から熱い想いが込み上げてくる。アレンは両手でしっかり受け取り、瞳を輝かせて微笑んだ。

「ありがとうございます……必ず活かします!」

ゴードンは「あまり期待するなよ」と吐き捨てるように言いながら、再び装置の調整を始める。アレンはその横でしばらく作業を見つめていたが、遠慮がちに「また、ここに来てもいいですか?」と声をかける。ゴードンは振り向きもせず、ほんの少しだけ肩を竦めて「勝手にしろ」と応じた。

アレンはその言葉に深い安堵を覚える。冷たくあしらわれたようでいて、かすかな承諾を感じ取れたからだ。工房を出るときには、外の空気がひどく新鮮に思えた。もう日はすっかり落ちかけているが、胸に宿る興奮は収まらない。錆びた金属部品の重みを抱えながら、彼は大事そうにそれを胸に押し当てる。

こうしてアレンは、町が「変わり者の発明家」と呼ぶゴードンとの奇妙な縁を結んだ。自分が夢見た「空を飛ぶ船」を実現する手がかりが、どこかに転がっているような気がする。そして、明日から始まる新しい日々に、アレンの心は期待でいっぱいだ。

第1章:前編|後編

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