大空の船 – 第1章 後編

「俺の名はゴードン。まあ、この町じゃ『変わり者の発明家』だなんて呼ばれてる。お前の名前は?」

「アレンです!」

老人――ゴードンの軽い質問に、アレンは弾んだ声で答えた。ゴードンは少しだけ口角を上げ、「ふん」と鼻を鳴らす。まるで自分の過去を見るようで居心地が悪いのか、あるいはアレンの素直な態度を面白がっているのか、その表情からは読み取れない。

「アレン、か。空を飛ぶ船を作りたいなら、覚悟しろ。失敗どころじゃ済まないこともある。金も材料も人手もかかる。それに……うまくいっても、飛べる保証なんざどこにもない」

ゴードンの声には、長年の苦労と失敗からくるあきらめの色が混じっていた。だが、それでもなお研究を続けているのだろう。だからこそ、こんなに多くの試作機がここに転がっている。アレンは何かを言いたくて口を開くが、うまく言葉にできない。

一瞬、アレンは自分の夢が愚かに思えた。大人になればなるほど現実的になり、空など飛べないと決めつけるのだろうか。でも、ゴードンは諦めていないはずだ。アレンは自分の心臓の鼓動が高まるのを感じながら、勇気を出して言葉をつなぐ。

「……それでも、僕はやりたいんです。どんなに大変でも、いつか絶対に空を飛んでみたい。そのためなら、勉強だって手伝いだってします。ゴードンさんから学ばせてください!」

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