大空の船 – 第2章 後編

そんな会話が交わされる一方で、実際の設計となると一筋縄ではいかない。ここで大きな助けになったのは、ゴードンの工房で学んできた膨大な知識と経験だ。飛行に必要な揚力、推進装置の構造、重量配分など、ずっとゴードンの下で体感してきた技術を元に、アレンは自分なりの答えを導き出そうとしている。そして、その中心となる推進機構の試作として、まずは小型の「試作船」を作ってみることを決めた。

「いきなり大型船を組んで失敗すれば、資材も資金も無駄になっちまう。まずは動力や翼の仕組みを確認する必要があるんだ」

アレンは工房に集まった数人の協力者とともに、試作用の船体の骨組みを組み立てていく。町の鍛冶屋や、元船大工をしていた年配の男も手伝いに来ていて、木材や金属の取り回しをしてくれる。

「なるほどねえ。船大工としては、このフレームが宙に浮くってのは想像しにくいが……ま、若い衆がやる気なら協力は惜しまんさ」

そう言いながら、彼らはアレンが描いた設計図を基に骨組みを補強したり、軽量化のために余分な材を削ぎ落としたりする。ときにはアレンの指示を訂正して、「こっちの方が強度が出るだろう」と新たな提案をしてくれることもある。

資金面の苦労も大きかった。町の商人に協力を仰ぐと、「空を飛ぶ船なんて、いったい何の役に立つんだ?」と笑われることも少なくない。けれど、今はまだ実用性がわからなくても、もしこれが成功すればその先には無限の可能性が広がるはずだ。リスクを恐れず出資してくれる酔狂な商人や、一度きりのロマンにかけてみようという好事家もわずかにいて、その出資金がアレンたちを支えてくれる。彼らにとっても「本当に飛んだら大儲けかもしれない」という下心が少なからずあるようで、面白がって追加支援を申し出る者も現れた。

そうして小型の試作船が形になり、いよいよ動力試験を行う段階に入った。船体に固定されたエンジン部分には、ゴードンから学んだ蒸気式の技術を改良し、軽量化と推進力アップの両立を狙っている。アレンがこれまで町のあちこちで調達した部品を組み合わせた寄せ集めではあるが、手応えはなかなかに悪くない。

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