大空の船 – 第2章 後編

第1章:前編後編 第2章:前編|後編

アレンが独立を決めてから、古い倉庫を改築した「工房」には日々いろいろな人が訪れるようになった。新しい挑戦に興味を持った若い技師や、大工、好奇心の強い町の住民。それぞれが「空飛ぶ船」を本気で作ろうというアレンの姿勢を見て、どうにも放っておけなくなってしまったらしい。

「おい、これ使えないか。昔、漁で使ってたけど壊れて処分するはずだったんだ」

町の漁師がそう言って差し出したのは、かなり錆びついた金属製のフレーム。もとは船舶用の部品だったようで、アレンが目を輝かせて受け取る。

「ありがとうございます! この強度なら船体の支柱に使えそうですね」

また別の日には、鍛冶屋の叔父さんが、鍛造に失敗して変形した鋼材の束を抱えてやってくる。

「へへっ、こいつは商品にならねえんだが、お前の工房の材料にはなるかもしれねえだろ?」

「助かります。きっと翼の骨組みに活かせるはずです」

そんな風に、工房には町から集まった様々な「廃材」が積み上がり、アレンはその一つひとつを確認しながら、空飛ぶ船「アルバトロス」の構想図を練っていく。彼が幼いころから心に抱いていた船のイメージは大きな翼を備え、広々とした甲板に人と物を載せてもなお浮かび上がるだけの浮力を持っているはずだ。しかし、机上の計算だけでは到達できない問題が山積みで、どうやって動力を賄うか、船体をどう安定させるかなど、検討すべき要素は尽きない。

「アルバトロスって……聞くだけでわくわくする名前だね」

幼馴染の少女が工房に遊びに来て、その名前を見たスケッチ帳を覗き込みながら目を輝かせる。彼女はさほど技術には詳しくないが、アレンの夢に小さい頃から触れ続けていた一人だ。アレンは顔をほころばせ、船のイメージを説明する。

「アルバトロスは、海鳥だけど、悠々と長い距離を飛べる大きな鳥なんだ。僕が作りたい船も、そんな風にどこまでも飛んでいけるようにしたいんだよ」

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