大空の船 – 第2章 後編

「よし、みんな気をつけて! 今からエンジンを始動するから」

アレンがそう呼びかけると、手伝いに来ていた仲間たちは距離をとり、それぞれ安全を確保する。蒸気圧をかけるバルブを開き、回転軸が音を立てはじめた瞬間、甲高い蒸気の噴き出す音が工房にこだまする。

「……大丈夫か!? 圧力のメーターが赤域に近づいてるぞ」

慌てた声を上げる者もいるが、アレンは必死にバルブを調整しつつ、プロペラの回転に目を凝らす。このテストで何が問題なのか把握して、次の改良に生かすのが狙いだ。船体が少し揺れ、浮き上がりそうになる感覚に、皆がどよめく。

しかし、やはりうまくはいかない。数秒もしないうちにエンジンの回転が不安定になり、突然パイプの継ぎ目から蒸気が漏れ始める。焦って制御を試みるアレンだったが、間に合わず小規模な破裂が起こり、船体の一部が吹き飛んで工房の壁にぶつかった。バラバラと部品が落ち、作業場は騒然とする。幸い大怪我をした者はいないが、船体の骨組みが歪み、エンジンも修理を要する状態だ。

「くそっ……やはり圧力に耐えきれなかったか」

アレンは悔しさに唇を噛む。周囲の大人たちも顔を見合わせながら、「危ねえとこだったな」「でもまあ、最初なんてこんなもんだろうよ」と、それでも淡々と片付けを始める。

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