大空の船 – 第2章 後編

そう言い残して帰っていく姿に、アレンは何とも言えない胸の熱さを覚える。確かに資金の問題や、エンジン強度、浮力制御など乗り越えるべき壁は多いが、この工房に集まる多くの人たちの思いや手助けを受けながら、ついに「アルバトロス」が完成に近づいていく。

完成を目前にしたある日、エンジンの最終調整をしていたアレンは、ふとゴードンの工房での記憶を思い出す。師匠はあれからどうしているのか。最初こそ衝突の末に決別する形で飛び出したが、ゴードンの言葉や技術がなかったら、今のアレンはいなかっただろう。いつか、アルバトロスが本当に空を飛べるようになったら、心から感謝を伝えたいと思う。

そんなささやかな希望を胸に、彼は工具を握り締めて配管の細部を確認し、試験の準備を整える。町の人が目を見張るような大きな船体が工房の外に姿を現しはじめ、「本当に飛ぶのか?」と野次馬が群がる日も増えてきた。アレンと仲間たちは疲れも見せず、休日も返上で作業に明け暮れる。

その甲斐あって、ついに船体が完成。アルバトロスと名付けられた巨大な飛行船は町外れの広場に移動され、試験飛行に向けた最終チェックを受ける。熱気球部分の気密性を確認し、エンジンを仮稼働させ、計器や操舵装置を入念にチェック。もうすぐ、この船が浮かび上がるかもしれない――その可能性を実感するだけで、アレンの胸は高鳴る。

「明日、テスト飛行をやる。みんな、ここまで本当にありがとう」

アレンが仲間と顔を見合わせると、皆も安堵と緊張の入り混じった笑顔を返してくる。町の人々も好奇心と興奮を抑えきれず、周囲に集まり始めている。空に昇るには未知の困難が待ち受けているかもしれないが、いよいよ「アルバトロス」が誕生の瞬間を迎えようとしていた。

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