どこか冷めた響きのある声だったが、その眼差しは真剣だ。アレンは戸惑いつつもうなずき、「そうだ。僕たちも手探りの段階だけど、いずれは長距離航行に挑戦したい」と答える。すると青年は身分証を取り出し、「俺はラウル。元々は近隣の警備隊で操縦士をやっていた」と名乗った。
「警備隊ってことは、何かの飛行艇を扱ってたのかい?」
リタが興味深そうに尋ねると、ラウルはちらりとアルバトロスの船体に目を向けたあと、小さく息を吐くように言う。
「飛行艇といっても軍用の小型機だ。だが操縦の基礎は押さえているし、もしお前たちが本気で空を飛ぶなら、その腕を買ってもらいたい。俺も……もっと広い空を見たくなったんだ」
アレンは半ば呆然としたまま、その言葉を受け止めた。確かにラウルの立ち姿や物腰には、独特の落ち着きが感じられる。実戦経験があるなら、空賊や荒天などのトラブルにも対応しやすいかもしれない。彼が本当に協力してくれるなら、操縦面での大きな戦力になり得る。
「歓迎するよ、ラウル。こちらも専門の操縦士が欲しかったんだ。よろしく頼む」
手を差し出したアレンとがっちり握手し、ラウルは少しはにかむように笑った。
「ただし、俺は金を稼ぎたいわけじゃない。報酬は最低限でいい。その代わり、どこまで飛べるのか試してみたい。お前たちの船がどこまで行けるのか知りたいんだ」
「もちろんだ。僕もできる限り高みを目指したいと思ってる」
そう言うアレンの胸には、昨日の初飛行で味わったあの興奮が蘇ってくる。もっと遠く、未知の空域へ行けるなら、それは自分一人ではなくクルーのみんなと作り上げるものだろう。


















