大空の船 – 第4章 後編

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第4章:前編|後編

浮遊島の狭い入江にどうにか着陸してから、アレンたちは一刻も早くアルバトロスの修理を進めなければならなかった。前回の空賊襲撃で船体の各所が破損し、エンジン周りにも焦げ跡が残る深刻なダメージが生じている。特に外板は穴が開いたままで、もし再び高高度を飛行しようものなら気圧差で船体が歪みかねない状況だ。

「リタ、そっちはどう? エンジン部分の配管、直せそうか?」

アレンは山積みの修理資材を抱えながら、機関室に向かって叫ぶ。エンジンを調整する腕前はリタが一番だが、それだけに負担が大きい。

「配管は一応つなげたけど、また同じ衝撃を受けたら漏れるかも。素材自体が傷んでるから、新しい部品を探さなきゃ厳しいかもね」

彼女は真っ黒になったパイプを指先で示し、ため息まじりに言う。

「だからってこの島で手に入る部品はたかが知れてる。どうにか応急処置だけでもしないと、飛ぶどころか浮かぶのも危ういぞ」

アレンは深くうなずき、甲板へ戻るとほかのクルーに声をかける。ラウルは艤装に開いた穴を塞ぐため、集落の鍛冶屋でかき集めた鉄板を加工中だ。ライナスは地図を広げてこの島の周辺情報を調べている。

「この島は小さいな。集落の住民に話を聞いたら、空賊の襲撃が怖くて外の世界とほとんど関わらないらしい。助けを期待するのは難しそうだな」

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