数日が経過した。健一と美咲は、囁き声の正体を突き止めるために家中を調べていたが、これといった手がかりは見つからなかった。それでも、健一は諦めずに夜ごと囁き声の発生を待ち続けていた。
その晩、健一と美咲は再び寝室で静かに時間を過ごしていた。健一は読書をしながら、美咲は日記をつけていた。外は静まり返り、窓の外には満天の星が輝いていた。時計の針が深夜を指した頃、健一はまたしてもあの囁き声を聞いた。
「美咲、聞こえるか?」健一は小声で美咲に尋ねた。
美咲は顔を上げ、耳を澄ませた。「…聞こえるわ」
彼女の驚いた表情に、健一は安堵と同時に恐怖を感じた。「何て言ってる?」
「『助けて…』って言ってるように聞こえるわ」美咲は震える声で答えた。
二人はベッドから降り、声の源を探るために家の中を歩き回った。囁き声はどこからともなく響いていたが、具体的な場所を特定することはできなかった。健一と美咲は慎重にリビングルームへ向かった。
「誰かが助けを求めているみたいだ」と健一は囁いた。
「でも、誰が?この家には私たち二人しかいないはずよ」と美咲は不安げに答えた。