夜の囁き – 第3章: 1

序章:  第1章:    第2章:  第3章: 1

夜が明け、健一と美咲は再び家の中を調べることにした。昨夜の囁き声が具体的な言葉となり、「助けて」「ここから出して」と彼らに伝えられたことで、二人の決意は一層強固なものとなっていた。彼らはこの声の主がかつての家族の一員であり、その霊がこの家に封じられていることを確信し始めていた。

「この声の主が過去の家族の誰かだとしたら、私たちが何か手がかりを見つけることができるかもしれない」と健一は言った。

「そうね。まずは古い写真や日記をもっと詳しく調べてみましょう」と美咲も同意した。

二人はまず、屋根裏部屋から調査を始めることにした。埃まみれの箱を一つ一つ開け、中に何が入っているかを確認していった。やがて、古いアルバムといくつかの日記帳が見つかった。

「見て、これはアルバムだわ」と美咲がアルバムを開き、写真を見つめた。「この家族の写真みたい。幸せそうに見えるわ」

健一も写真を覗き込み、過去の家族の姿を確認した。写真には、父親、母親、そして二人の子供たちが笑顔で写っていた。家族の幸せな日々が写し出されていたが、その一方で、突然の不幸が訪れることを暗示するかのような、不安な表情もいくつか見受けられた。