フルコートの奇跡 – 第1話

「君、新入部員か?」と田中が声をかけてきた。

「はい、鈴木健太です。よろしくお願いします!」と健太は少し緊張しながら答えた。

「いいね。うちのチームはいつでも新しい仲間を歓迎するよ。でも、練習は厳しいぞ。」

「それでも構いません!もっと上手くなりたいんです。」

その言葉に田中は満足げに頷き、健太に練習メニューを教え始めた。最初は基本的なドリブルやシュート練習だったが、健太は一つ一つ真剣に取り組んだ。その姿勢が周りの先輩たちの目にも留まり、次第に彼らと打ち解けるようになった。

コーチの松本もまた、健太の情熱に感銘を受けていた。「鈴木、お前には特別なものがあるな。身長がハンデだと思うかもしれないが、それを補って余りある努力と才能がある。これからが楽しみだ。」

健太はコーチの言葉に力を得て、さらに練習に打ち込んだ。放課後はもちろん、朝早くから体育館に通い、誰よりも遅くまで残ってシュート練習をする日々が続いた。チームメイトとの絆も深まり、一緒に汗を流すことで得た友情は、健太にとってかけがえのないものとなっていった。

そんなある日、健太のもとに一通の手紙が届いた。それは、地区大会へのエントリーが決まったことを知らせるもので、彼の胸は一層高鳴った。「ついに、全国大会への一歩だ」と心の中でつぶやき、健太はその手紙を握りしめた。

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