フルコートの奇跡 – 第1話

団結への道

地区大会へのエントリーが決まったものの、鈴木健太のチームは順風満帆とはいかなかった。現状、チームには多くの課題が山積みだった。練習の時間が限られている上に、予算の問題で設備も十分ではなかった。また、チームメンバー間の関係も必ずしも良好ではなかった。

放課後の体育館では、コーチの松本が厳しい口調で指導していた。「みんな、動きが鈍いぞ!もっと集中しろ!」しかし、その声はどこか空回りしているようにも感じられた。特に、キャプテンの田中龍之介とフォワードの石井翔太の間には、目に見える緊張があった。

「龍之介、パスが遅いんだよ。だから俺たちがシュートを決められないんだ!」石井が苛立ちをあらわにする。

「何だと?俺のパスが悪いんじゃない、お前の動きが鈍いからだ!」田中も負けじと応じる。

その光景を見て、健太は胸が痛んだ。彼は何とかしてチームをまとめたいと思い、コーチに相談することにした。

「コーチ、どうすればチームの雰囲気を良くできますか?」健太は真剣な表情で尋ねた。

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