雪の旋律に響く心 – 第1章

第2話: 「新たな提案」

洋平は映画制作会社との会議室に座り、テーブル越しにいるプロデューサーに向かって静かに息を整えた。話題は次の映画の主題歌に関することだった。「今度の映画には、カイトが適任だと思います」と、洋平は自信を持って言い切った。プロデューサーは眉を上げて反応した。「カイトさんですか…最近はあまり名前を聞きませんが。」

「確かに、彼の知名度は高くありませんが、彼の音楽には他のアーティストにはない独自の魅力があります。彼の歌がこの映画の世界観にぴったりだと思います。」洋平はプロデューサーの目をしっかりと見つめ、カイトの才能を力強く推した。その情熱が伝わったのか、プロデューサーは少し考え込んだ後、「まあ、試しに彼のデモを聞いてみましょう」と同意した。

洋平はその帰り道、冷たい風に吹かれながらも、少しだけ希望を感じていた。カイトにこの話をどう伝えようかと考えながら、自宅へと足を運んだ。

その晩、カイトの部屋に訪れた洋平は、早速映画の話を切り出した。「映画の主題歌、どうだ?プロデューサーも興味を持ってくれてる。お前ならきっといい曲が作れる。」カイトはギターを手にしていたが、その手を止めて洋平を見た。「映画の主題歌か…でも、俺の曲が合うかな。」彼の声には依然として自信が感じられなかった。

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