翌朝、相馬祐一は朝食を済ませてからすぐに調査を開始した。彼の最初の目的地は、事件が発生した場所だった。それぞれの現場は、一見すると何も変わったところはない静かな田舎道だったが、調査を進めるうちに赤い糸の一部がまだ残っていることに気づいた。
彼はその糸を確認し、詳細な調査を開始。この糸が事件の鍵を握っていると確信していた相馬にとって、その素材や作り方、そして糸がどのように残されていたかなどの詳細な情報は非常に重要だった。しかし、それだけではなく、彼は現場の周囲の状況や、事件当時の天候なども調査した。それぞれの情報が、赤い糸の謎を解き明かす手がかりとなる可能性があったからだ。
一方で、相馬は村人たちとも接触を持ち始めた。彼らの間で語られる伝説や、独自の信仰、さらには事件に対する恐怖や不安など、村の内側からの情報は彼にとって新たな視点を提供した。特に村の若い女性たちは、この事件により夜道を歩くことができなくなったと話していた。その中には、自分たちもいつ赤い糸の呪いに遭うか分からないという恐怖心も感じられた。
調査を進めるうちに、相馬は村の中に隠れた様々な事実に気づき始めた。それは、ある家族間で続く確執、古い信仰に囚われた村人たちの思想、そして赤い糸の呪いが語られる理由など、さまざまだった。それらは一見、事件とは関係ないように見えたが、彼はそれら全てが何かしらの形で連鎖している可能性を否定できなかった。
一方、相馬が村の過去を掘り下げるにつれ、彼自身が村人たちから怪しまれる存在となっていった。彼が外部からやってきた探偵であり、村の秘密を探っていることに対して、村人たちは警戒心を露わにした。特に村の長老たちは、彼が村の伝統や神々を冒涜する存在として相馬を忌み嫌うようになった。
このような中で、相馬は赤い糸の一部を持って村の織物職人のもとへ向かった。その糸の素材や作り方、そしてどのようにして女性たちの近くに残されたのか、これらの情報が探偵に新たな視点をもたらすかもしれないと考えたからだ。そして、織物職人から得た情報により、彼は事件について新たな視点を得ることができた。それは赤い糸がこの村でしか作られない特殊なものであり、その糸を扱うことができる者は限られているという事実だった。
日が落ちると、村は再び不気味な静寂に包まれた。相馬は糸神村の夜の静寂を感じながら、その日の調査を振り返った。そして、彼は深い闇の中に視線を向け、赤い糸の連鎖がどこにつながるのか、真実を探し続けることを決意した。
彼はこの村の過去と伝説、赤い糸の謎、そしてそれらがどのように連鎖しているのかを探り、次第にその答えに近づいていく。しかし、その一方で、相馬自身もまた、村の深い闇に飲まれていく恐怖を感じていた。それは彼が、犯罪の真実を探る中で、自分自身が犯罪のターゲットになりつつあることを感じさせたからだ。
前編 後編
