夜明けのペンダント – 最終章: 第2話

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祭壇の轟音が静まると、辺りはすっかり静寂に包まれた。崩れ落ちた石板の隙間から差し込む月光が、散乱したロウソクの芯をかすかに照らし出す。秋山玲は深呼吸を一つし、高橋航の肩に手を置いた。

「終わったな」

玲の声は震えていなかったが、その瞳には強い緊張の色が残る。航はロウソクの残り火に目を細め、祭壇の中央に置かれた封印箱を見つめた。箱の表面には松永家の家紋が刻まれ、黒い封印符が張り付けられている。

「本当に封じられたんですね……」

航の声には、やっと安堵が混じった。だが、背後の闇が再びざわめき、白井薫がゆっくりと姿を現した。ローブの裾は砂埃を巻き上げ、手には小さな銀の短剣が握られている。

「甘いな」

白井の声は低く、それでいて不気味な余裕を漂わせていた。短剣を灯りにかざし、刃先に反射する月光がぎらりと光る。

「お前たちは、呪いの表層しか見ていない」

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