学長は眉をひそめた。「全ての事件が夜中に起きており、場所はすべて時計塔です。ですが、彼らの個人的な背景には特に共通点が見当たりません。いずれも優秀な学生で、周囲からも尊敬されていました。」
「時計塔には何か特別な歴史や背景がありますか？」とアンナは続けた。
「時計塔は大学の象徴的な存在です。建てられたのは19世紀の初めで、当時の大学の創設者たちが資金を集めて建設しました。しかし、それ以上の詳しいことはわかりません。古い文献を調べる必要があるでしょう。」
アンナは学長の話をメモしながら、次に誰に話を聞くべきかを考えた。彼女は広報担当者に感謝を述べ、キャンパス内を歩き始めた。次に訪れたのは図書館だった。ここには大学の歴史に関する貴重な文献が保管されているはずだと考えたからだ。
図書館の入口で、アンナは一人の若い司書に声をかけた。「すみません、大学の歴史に関する資料を調べたいのですが。」
司書は親切に微笑んで答えた。「もちろんです。こちらへどうぞ。特にどの時代の資料をお探しですか？」
「19世紀初め、特に時計塔に関するものがあれば助かります。」
司書は彼女を案内し、古い書籍が並ぶ一角へと連れて行った。「ここにある本が役立つかもしれません。何か見つけたらお知らせください。」
アンナは本棚の前に立ち、慎重に一冊一冊を手に取って調べ始めた。古びたページには、大学の創設時のエピソードや建物の設計図が記されていた。しかし、特に目を引いたのは、時計塔にまつわる奇妙な伝説だった。
