聖夜に注ぐレクイエム – 12月22日

陸はその名前を聞いて記憶を探ったが、これまでの捜査資料には一度も登場していなかった。

「彼が事件とどう関係しているのか調べる必要があるな。だが、その前に、この鍵の使い道を突き止めるのが先だ。」

陸は真知子に渡された鍵を手に取り、怜子の控室や彼女の自宅周辺で使えそうな場所を探ることに決めた。

その日、陸と片桐は協力して怜子の自宅を再訪した。真知子の案内で部屋を調べていくと、怜子が大切にしていたピアノの譜面台の裏に、小さな鍵穴があることに気づいた。

「この鍵穴、まさか……。」

陸が持ってきた鍵を慎重に差し込み、回してみると、譜面台が音もなく開いた。その中から現れたのは、一通の封筒だった。封筒の表には「これを信じられる人に託してください」と怜子の筆跡で書かれていた。

封筒を開けると、中にはいくつかの写真と書類が入っていた。それらは10年前の火災事故に関連するものだった。特に目を引いたのは、一枚の写真。そこには、怜子と数人の生徒、そして中村拓也と思われる男が写っていた。

「これが、中村拓也か?」

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