聖夜に注ぐレクイエム – 12月22日

片桐が写真を指さしながら言った。陸もその顔をじっと見つめ、何か思い出すような表情を浮かべた。

「この男、どこかで見た気がする。だが、どこだ……。」

その夜、陸は署に戻ると、過去の事件記録を再び洗い直した。中村拓也が火災後に姿を消した理由や、彼が怜子にどのように関わっていたのかを追う必要があった。

すると、同僚から新たな情報がもたらされた。

「大沢さん、怜子さんが失踪する直前に脅迫されていたという証言が得られました。匿名の手紙が何通か彼女の元に届いていたようです。」

「脅迫だと? 内容は?」

「『過去を語るな』『真実を暴こうとすれば痛い目を見る』といった内容だったそうです。」

陸はその言葉を聞いて、脅迫者が怜子の過去の秘密を知っていた可能性に気づいた。そして、それが火災事故と関係しているならば、中村拓也がその脅迫者である可能性も高かった。

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