聖夜に注ぐレクイエム – 12月24日

片桐が隣でそう声をかけるが、陸の表情は険しいままだった。

「分かってる。でも、時間がないんだ。奴が次に何をするつもりか想像もつかない。」

廃教会に到着すると、その場の静けさに一層の緊張感が漂った。教会の外観は崩れかけており、長い間放置されていたことを物語っていた。教会の扉は少しだけ開いており、中からかすかな音が聞こえた。

陸と片桐が慎重に中へ入ると、そこには一人の男が立っていた。その背後には椅子に縛られた怜子の姿があった。

「中村拓也……いや、違うな。」

陸が警戒しながら問いかけると、男はゆっくりと振り向き、不敵な笑みを浮かべた。

「よくここまで来たな。大沢陸、片桐悠人。君たちのような正義感の強い人間が、この状況をどう変えられるか見せてもらおう。」

男は落ち着き払った声でそう言いながら、怜子の背後に立った。

「怜子さんを解放しろ! お前の目的は何だ?」

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