片桐はその意図を察し、陸に目配せをした。陸もすぐに状況を理解し、男の注意を引きつけることに決めた。
「お前は自分が正しいと思っているのか? 真実を消せば、自分の罪が消えるとでも?」
陸の言葉に、男は一瞬だけ表情を曇らせた。その隙をついて、片桐が鐘の塔へと駆け上がった。
鐘が鳴り響いた瞬間、男は驚いて怜子から手を離した。その隙に陸が素早く距離を詰め、男を押さえ込んだ。
「もう終わりだ。」
陸が手錠をかけながら呟くと、怜子は涙を浮かべながら安堵の表情を浮かべた。
「怜子さん、大丈夫ですか?」
片桐が駆け寄ると、怜子は弱々しく頷いた。
「ありがとう……。」
だが、その時、男は不気味な笑みを浮かべながらこう言った。
「終わり? いや、まだだ。クリスマスの夜はこれからだ。」
その言葉の意味が何を指しているのか、陸も片桐も理解できなかった。しかし、何か大きな出来事がまだ残されていることを感じ取った。


















