聖夜に注ぐレクイエム – 12月24日

片桐はその意図を察し、陸に目配せをした。陸もすぐに状況を理解し、男の注意を引きつけることに決めた。

「お前は自分が正しいと思っているのか? 真実を消せば、自分の罪が消えるとでも?」

陸の言葉に、男は一瞬だけ表情を曇らせた。その隙をついて、片桐が鐘の塔へと駆け上がった。

鐘が鳴り響いた瞬間、男は驚いて怜子から手を離した。その隙に陸が素早く距離を詰め、男を押さえ込んだ。

「もう終わりだ。」

陸が手錠をかけながら呟くと、怜子は涙を浮かべながら安堵の表情を浮かべた。

「怜子さん、大丈夫ですか?」

片桐が駆け寄ると、怜子は弱々しく頷いた。

「ありがとう……。」

だが、その時、男は不気味な笑みを浮かべながらこう言った。

「終わり? いや、まだだ。クリスマスの夜はこれからだ。」

その言葉の意味が何を指しているのか、陸も片桐も理解できなかった。しかし、何か大きな出来事がまだ残されていることを感じ取った。

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