怜子の話を聞き、陸と片桐は「レクイエム」の意味を改めて考え直した。その楽譜に隠されたメッセージが、10年前の火災事故の真相を指し示していることは既に分かっていた。しかし、それが何故真犯人にとって脅威だったのか。
「鐘の音と、この曲……それが彼らの計画に関係しているはず。」
怜子はピアノに向かい、譜面を広げた。そして、一音一音を丁寧に弾き始めた。そのメロディは荘厳でありながらも、どこか悲しみに満ちていた。
片桐が楽譜を見ながら、怜子の演奏を追う。すると、ある部分で片桐が声を上げた。
「ここだ! この音符の並び、場所を指している!」
「場所だと?」
陸が詰め寄ると、片桐は譜面に記された隠しメッセージを指さした。
「この組み合わせは、教会の地下室を示している可能性があります。」


















