聖夜に注ぐレクイエム – 12月25日

陸がノートを手にし、警察に報告する準備を進めようとしたその時、再び鐘の音が響き渡った。外からはサイレンの音が近づき、警察が教会を包囲していることが分かった。

「怜子さん、これからはあなたの音楽が真実を語る番だ。」

片桐が静かに微笑みながらそう告げると、怜子は小さく頷いた。

数日後、事件の全貌が公表され、火災事故の真相が明らかになった。怜子が演奏する「レクイエム」は多くの人々に聴かれ、過去の悲しみと向き合うきっかけを与えた。その音楽は、罪を償い、未来へ進むための希望の象徴となった。

「音楽は、人を救う力がある。それを信じていたから、私はここにいられる。」

怜子はそう語りながら、再びピアノの前に座った。彼女の演奏が響く中、陸と片桐はそれぞれの道へと歩み出していった。

物語は静かに幕を下ろしたが、怜子の音楽は新たな物語を紡ぎ続けるのだった。

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