異世界図書館の新守護者~私の魔法書は無限!~ – 第2話

図書館の奥深くには、一般の来訪者たちが立ち入ることのできないエリアが存在した。それは「禁書エリア」と呼ばれる場所で、壮麗な扉の向こうには強力な魔法や、世界を狂わせる禁断の知識が眠っている。エルドラの警告もあって、綾はこのエリアに一度も足を踏み入れたことがなかった。

ところがある日、図書館の静寂を破る轟音と共に、異常な震動が響き渡った。綾は即座にその音の方向へと向かう。響き渡る警報の音、そしてその先に見える禁書エリアの扉が強く揺れている。その扉を乗り越えようとする巨大な黒い影。それは、かつての古代文献に記されていた伝説の魔物、グリモアの化身とも言われる「知識の吸収者」であった。

「なぜ、こんなところに!?」

焦る綾。しかし、彼女一人の力でこの魔物を阻止することは難しい。そこへ、狐蓮とフェリアが駆けつける。

「綾!大丈夫か!?」

「これは…伝説の魔物…!」

狐蓮はすぐさま、狐の民の特性である精神魔法で魔物を拘束しようとするが、魔物の力は強大で、ほんの僅かしか動きを止めることができない。フェリアも自然の魔法を駆使して攻撃するが、その攻撃は魔物の体をかすめる程度であった。



「このままでは…禁書エリアの封印が解かれてしまう!」

綾は焦燥感を抱えつつも、彼女がこれまで学び取った魔法の知識を駆使して魔物に立ち向かう。しかし、その魔法の一つ一つが魔物に吸収されてしまい、効果は薄れていった。

「どうすれば…」

ピンチの中、綾はエルドラの言葉を思い出す。「知識は力である。しかし、それを正しく使いこなすには、心のバランスが大切だ。」

綾は、この戦いにおいて、単なる魔法の知識だけではなく、友人たちとの絆、これまでの交流や経験を力に変えることが必要だと気づいた。狐蓮やフェリアと手を取り合い、三人の心が一つになった瞬間、新たな魔法が生まれた。それは、異なる種族、異なる背景を持つ者たちが一つになった時にのみ発動する、強力な絆の魔法であった。

この魔法の力を前に、魔物「知識の吸収者」は退散していった。禁書エリアの扉も静かに閉じられ、再び静寂が図書館を包んだ。

「ありがとう、狐蓮、フェリア…。」

「お互い様だよ、綾。」

「また新しい魔法を学べたね!」

三人は微笑みながら図書館の中心へと戻っていった。

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