異世界農業革命 – 第7話

 そんな交渉の最中、盗賊団と魔物の襲撃が同時多発的に起きる。枯れた森から出現した凶暴な魔獣は村の畑を狙い、盗賊たちは貴族の手先か、自分たちの欲望か、あるいはその両方で動いているのか、とにかく村の混乱に乗じて食糧と研究資料を奪おうとする。ガイは若い戦士たちを率い、見張り台から緊急合図を送った。

「こっちも戦闘態勢に入る! おまえたち、村の南門を守れ! 北側から回り込む魔物もいるぞ、そっちも忘れるな!」

 血の気の多い盗賊数名が剣を抜いて突撃してくるのを、ガイが華麗な剣さばきで払いのける。シルヴィアは魔法陣の完成が間近と聞き、畑に急行するが、道中で襲いかかる下級魔物を掃討しながら進まなければならない。エリアスとドルトは村人を守るため、負傷者を安全な場所へ避難させ、可能な者には武器を持たせて応戦するよう指示を出す。

 一樹も動揺しながらも、鍬を握りしめて畑を守る立場を選んだ。すでに魔力の調整システムを稼働させようとする作業班が集まっており、ここを突破されれば計画は水の泡だ。「何としても時間を稼ぐ。魔力制御が間に合えば、この戦局は大きく変わるはずだ……!」

 激しい戦火の中、シルヴィアの魔力制御が完了するタイミングが近づいてくる。畑に張り巡らされた巨大な魔法陣が、淡い光を放ち始めた。溢れかけていた魔力が整流され、周囲の作物が一瞬にして活気を取り戻す。さらには森のほうから吹き付けていた禍々しい魔力の波が、魔法陣の端で吸収されるように鎮まっていった。

「今だ……放出のフェーズを起動するわよ!」

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