陽斗たちは、長い旅路の果てに、やっと王国の首都へと辿り着いた。だが、彼らが目にしたのは、華やかな外観の裏側に潜む深い闇であった。城壁を彩る煌びやかな装飾や、行人たちの賑わいとは裏腹に、街の空気はどこか重苦しく、緊迫感が漂っていた。王国は今、内乱の混乱に陥り、各勢力が互いに火花を散らす状況にあった。
首都の中心部へ足を踏み入れた瞬間、陽斗はその場に流れる不穏なエネルギーを鋭く感じ取った。広場では、貴族や政治家たちが互いに睨み合い、策略を巡らせるかのように低い声で囁いていた。突然、騎士ロレンスが仲間たちに向かって厳しい表情で話し始めた。
「見ろ、あの立派な宮殿の前でも、まるで戦場のようだ。ここでは、権力争いと陰謀が渦巻いている。俺たちの力に目を付ける者も、少なくないはずだ。」
エリナは、辺りを見回しながら、慎重な口調で言葉を重ねた。「この王国では、王族だけでなく、多くの貴族や政治家が、表向きは助力を装いながらも、裏では自分たちの利益のために動いている。私たちのような力を持つ者が、どちらの側に付くかは、すぐに決定されるだろう。」
ミカエルは、地図と古文書の断片を手に取りながら、冷静な表情で状況を整理していた。「情報によると、王国内には二大勢力が存在している。一方は伝統的な王権を支持する勢力、もう一方は改革を唱え、反乱を起こす勢力だ。どちらも、我々の存在を利用して自らの目的を達成しようとしている。これから先、我々はどちらの側にも明確に肩入れできない立場に立たされるかもしれない。」
その時、街中から一陣の騒音が上がり、一般市民が慌ただしく逃げ惑う様子が見え始めた。突然、反乱軍と王国軍が激突する激戦の火蓋が切られたのだ。陽斗たちは、思いもよらぬ戦闘の現場に巻き込まれる形となった。群衆の中から、荒々しい叫び声と金属のぶつかる音が響き、通りの一角では、武装した兵士たちが必死に市民を守ろうと奮闘していた。
