異世界農業革命 – 第7話

 シルヴィアが合図をすると、魔法陣の中心に据えられた水晶のような媒体が強烈な光を発し、余剰となった魔力を上空へ放出し始める。すると、一時的に魔物たちの動きが鈍り、混乱した盗賊たちも後退を始める。「何だ……何が起きているんだ!?」と恐怖に駆られた声が響く。

 その間隙を突いてガイや若者たちが一斉に反撃に移り、魔物や盗賊を追い払うことに成功した。息を切らしながら彼らが戻ってくると、辺りにはすでに安定した魔力の流れが生まれている。シルヴィアの顔には深い安堵の色が浮かんでいた。「やった……何とか暴走を止められたみたいです。」

「まさに土壇場の大逆転だな……!」ガイは額の汗を拭いながら、ほっと息をつく。

 こうして村の総力を挙げた戦いは、魔力の暴走を抑制し、盗賊団と魔物の襲撃を切り抜ける形で終結を迎えた。領主軍も、この顛末を見て安易な支配が得策ではないと悟り始めているようで、一樹らの農業技術に興味を示す声が聞こえてくる。飢饉や経済衰退といった問題を抱える領地にとって、彼らが生み出した魔力と土壌改良の融合技術は大きな利益をもたらし得るからだ。

 戦火の残る畑には、強まった魔力が落ち着いて循環し始めたおかげか、まるで生命力を取り戻したような作物が風に揺れている。まだ混乱の爪痕は大きいが、村人たちの眼差しには再び光が差していた。この苦難を乗り越えた先にこそ、新たな未来があると信じながら――。

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