異世界農業革命 – 第7話

「怖いのはみんな同じです。でもこのまま何もしない方が、もっと危険だと思います。」

 一樹は険しい顔で答える。現代の農業知識と魔法の融合が、これほどスリリングな展開を迎えるとは思わなかった。しかし、成功すれば村は救われるどころか、あふれる魔力を新しいエネルギー源として活用できる可能性まで開けてくる。

「強まった魔力を逆手に取れば、生育スピードを上げた作物を作れるかもしれない。短期で大量に収穫できれば、今後の飢饉対策にもつながるはずです。」

 ちょうどその頃、領主軍との対立も激化していた。領主は武力をちらつかせ、「領主の保護下に入れば、この村を魔力災害から守ってやる」と言外に脅迫するが、村にとっては納得できる条件ではなかった。重税を課され、研究を独占されることが目に見えているからだ。しかし、一樹は思い切って領主側と直接交渉に乗り出す。

「領主様の領内で大規模な飢饉が起きるのは、決して望ましいことではないでしょう。もし私たちの農業技術がうまく機能すれば、土地を豊かにし、長期的には領主様にも利益をもたらすことができます。」

 領主軍の隊長は鼻を鳴らして嘲笑しながらも、そこに一理あることは否定できないらしい。「確かに、作物が多く取れれば領地全体の収穫量も上がる。だが、貴様らは勝手に技術を独占しているのではないか?」

「いいえ。私たちは協力関係を望んでいます。もし領地全体の飢餓を減らせるなら、私たちとしても喜ばしいことです。ただ、無理やり支配されるのではなく、互いに対等の立場で協定を結べないか、ぜひ再考していただきたい。」

 一樹の話を聞いた兵士の中にも、食糧不足で苦しむ故郷を救いたいという者がいるようで、次第に「悪い話ではない」という声が漏れ始めた。隊長は渋い顔をして黙り込むが、強引な支配を推し進めれば反発が大きいことも理解しているのか、すぐには武力行使に踏み切れない様子だ。

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