異世界農業革命 – 第8話

「まだ油断はできませんが、何とか大きな被害は防げました。これで魔力災害が完全に収束すれば、作物の大豊作も夢じゃないはずです。」

「そうだよね。私も魔法陣のさらなる改良を考えているから、今度はもっと安定的に魔力を活用できるはず。逆に言えば、これを機に新しい農業技術をさらに広げられるかもしれない。」

 シルヴィアは未来に対する自信をにじませる。大規模な魔力制御の試みに成功したことで、彼女自身の魔法使いとしての評価も一気に高まっていた。

 一方、領主の軍や役人たちはどうにも対応が難しくなっていた。先の一連の騒乱を目の当たりにし、強引にエル・リーフ村を支配しようとしても得られる利益よりも被害が上回る可能性が高いと判断したようだ。何より、農業技術の急速な進展が領地全体にメリットをもたらすかもしれないという事実を、無視できなくなっていたのである。

「これから先、領主様はどんな態度を取るんだろうな。」

 エリアスが呟くと、一樹は苦笑まじりに答える。

「強硬策を取られる恐れはまだありますが、少なくとも今は飢饉対策に関心が高まっているようです。村を滅ぼすよりも、この新技術を取り込んだ方が領主様にとっても得になる――そう考えてくれるなら、こちらとしても交渉の余地があります。」

「それなら、ちゃんと話し合いができるといいね。今のところ、村から提示できるのは作物の一部と技術提供だけど、それでも従来の税よりはずっと村の負担が減るはずだ。」

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