アルディア全土を覆う戦乱の最中、陽斗たちはひときわ重苦しい空気の中、古代の神殿跡に佇むオラクルのもとへと辿り着いた。石造りの神殿は年月に風化し、いくつもの伝説が刻まれた碑文が残る中、中央に据えられた祭壇の前には、漆黒のローブをまとった預言者が静かに座していた。薄暗い室内には、遠い昔から伝わる謎めいた呪文のような言葉が、かすかに囁かれているかのように響いていた。
預言者は、陽斗たちが近づくと、ゆっくりと顔を上げ、その深い瞳で一人一人を見渡した。しばらくの静寂の後、彼は重々しい口調で語り始めた。「あなたがたは、古の選ばれし者の末裔。虚無の王が再び復活し、アルディアを闇に包もうとするその時、あなた、陽斗、およびあなたの仲間たちが、最後の希望となるであろう。しかし、その道は決して容易なものではなく、あなたは大いなる犠牲を払う覚悟を持たねばならぬ」
陽斗は、預言者の言葉に耳を傾けながらも、胸中に複雑な思いを抱いていた。彼は、これまでの戦いの中で己の力と限界、そして仲間たちとの絆を痛感していたが、預言者の言葉は、まるで運命を告げるかのように彼の心に重く響いた。「大いなる犠牲……俺が何をするべきか、まだ見えていない」と、心の奥で呟くように思った。
その時、エリナが静かに前に出て、預言者に問いかけた。「私たちが守るべきものは何ですか? この戦乱の中で、どのような未来を築くために戦うのか、その意味を教えてください」