昼休み。ギルド裏手の訓練場では、いつものようにティリアが的を並べ、ガルドが筋トレ、リリィは火花と油にまみれていた。
「ユウト、お帰り」
ティリアが軽く矢をはずすと、赤面を隠すように弓を背負い直した。「王都はどう? ……その、疲れてない?」
「数字の山より、窓口の請求書の方が落ち着くかな」
「だと思った!」ガルドが豪快に笑い、腕立ての姿勢で私にウインク。「今夜は肉祭りだぞ。新人からの奢りでな!」
「奢りって、また脅したの?」
「交渉術と言ってほしい」
一同が笑い合う最中、リリィが鼻をすすりながらレンチを振った。
「王都招待? 工作油と煤だらけの私でも行っていいのかな……」
「行ってこいよ」ガルドが言う。「ドレスの代わりにスパナ持ってけば目立つぜ」
ティリアが小さく頷いた。「あなたの技術は王都の誰より“上等”よ」
リリィは照れ笑いして工具箱の中へ顔を突っ込んだ。


















