星降る夜の奇跡 – 第5話

「ユウタが本気でそう思うなら、きっとできるよ。……わたしもね、やっぱり都会に戻らなくてもいいかなって思い始めてるんだ。あんなに疲れて、何もわからなくなってたけど、ここで星を見てると、自然と自分らしさを取り戻せる気がして……。だから、もう都会には戻らないよ。わたし、ここで生きていきたいって、今すごく強く思うんだ」

それはサヤが自分のなかでずっと揺れていた選択肢だった。都会へ戻れば、以前のようにキャリアを築けるかもしれない。だが、一度はそれで心が壊れかけた。それならば、ここでユウタや村の人たちと暮らし、星空を眺めながら新しい人生を築く道を選びたいというのが、彼女の素直な気持ちだった。サヤ自身、その決断が正しいかどうかはまだわからないけれど、流れ星の光が「それでいい」と背中を押してくれているように感じる。

「星が降る夜に、こんな決心ができるなんて、なんだか夢みたいだね」

サヤがそう微笑むと、ユウタも応じるように穏やかな笑みを浮かべる。夜空を見上げる彼の横顔は、どこか吹っ切れた表情をしている。ずっと抱えていた未練や迷いが、幾筋もの流れ星とともに消え去ったようだった。星の世界は厳かで、そこには人間の小さな苦悩も、一瞬で溶け込んでしまうような偉大な力があるのかもしれない。

激しく流れ落ちる星の光に囲まれた中、ユウタはサヤの方を向き、少し緊張したように唇を開く。「サヤがいてくれるだけで、夜空がもっと輝いて見える。俺……君と一緒に星を見ていたいんだ。これからもずっと」

サヤは胸が高鳴るのを感じながら、ユウタの言葉を真っ直ぐに受け止める。繋いだ視線の先に広がる無数の星々が、二人の姿をまるで祝福しているかのようだ。サヤもまた、震える声で想いを伝える。

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