古びた手紙の秘密 – 第4話

「ここに書いてあるように、ばあちゃんは最後までカズマさんのことを想っていたと思います。だから、あの未送の手紙も捨てられずに持ち続けていたんじゃないかと。」アカリがそう言うと、カズマは声にならない息を漏らし、テーブルに視線を落とした。しばらくして、ひっそりとした口調で言葉を継ぐ。「そうか……。そうだったのか。私は、ただ自分の力不足を嘆いて終わりにしていた。あの子が本当にどう思っていたのか、確かめることが怖かったんだ。結局、会いに行く勇気がなくて……。私は何十年も臆病者のままだった。」

そのまま声が詰まったのか、カズマは小さく震えているように見えた。アカリははっとして、何か言葉をかけようと口を開きかけるが、適当な言葉が見つからない。長い時間を隔てて、ようやく知ることができた祖母の切ない気持ち。そこには、子どもや孫も想像できなかった深い想いと、時代に翻弄された二人だけの物語がある。カズマにとっても、その事実は重く、しかし同時に救いでもあるのかもしれない。

テーブル越しに、アカリはふとカズマの顔を正面から見つめる。祖母を一途に想い続けた優しさ、何十年も抱えた未練と後悔。それらを背負ってきたからこそ生まれた深い眼差しに、不意に胸が高鳴る。「私……ばあちゃんの代わりに来ただけのはずなのに。どうしてこんなに、カズマさんのことが気になるんだろう。」アカリは心の中でそう問いかける。カズマの語る祖母との思い出はどれも切ないのに、なぜだか温かい。失われた恋がそこにあるはずなのに、不思議とそれだけでは終わらない何かが芽生えている。

カズマもまた、小刻みに息を吐きながら、アカリを見つめ返してきた。「あなたには、感謝しているよ。まさか、あの人の孫がここまでして私のもとへ足を運んでくれるなんて、思いもしなかった。だけど……」そこまで言って、カズマは目を伏せる。「私はもう年も取ったし、あなたはまだ若い。こんな、時代遅れの頑固者に振り回されるのはよくない。あなたはあなたの人生を大事にしてほしい。」

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