古びた手紙の秘密 – 第4話

アカリは自分の心が不思議なくらい落ち着いているのを感じた。最初はただ「祖母がどんな恋をしていたのか知りたい」と好奇心に突き動かされていたが、今は違う。祖母がどんな犠牲を払い、どんな思いを抱えて生きたのかを思うと、切なさと同時に、どうしても「カズマさんに伝えたい」という気持ちが沸き起こってくる。祖母が最期まで隠していたかもしれない想いを、今こそ届けるべきではないか――そんな衝動に近い決意が芽生えていた。

「お母さん、私、もう一度港町へ行ってくる。ばあちゃんの日記も、見つけた写真や手紙も持っていって、カズマさんに全部見せたいの。」アカリがそう切り出すと、母は少し驚いた顔をした。「でも……。本当にそれがばあちゃんの望みだったのか、わからないわよ。隠し通そうと思っていたからこそ、今まで言わなかったんじゃないの?」

それでもアカリは首を横に振る。「ばあちゃんは、隠したかったのかもしれないけど、本当はどうだったのか……。私は、このまま見なかったことにするのが一番辛いような気がするの。もしカズマさんが今も心を痛めているなら、ばあちゃんが抱えていた気持ちを伝えてあげることが、少しでも救いになるかもしれない。」

母は言葉を失いかけるが、やがて何かを吹っ切ったようにうなずいた。「あなたの言うとおりかもしれない。ばあちゃんが結局誰にも話さずにいたその恋は、きっと彼女の人生を大きく左右したと思う。行っておいで。私ももう少し、ばあちゃんの日記を読み進めてみるわ。」

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